石狩鍋と薔薇

 塾からの帰り道。私があまりの寒さに身体を震わせながら歩いていると、加奈が追いかけてきて、楽しそうに話しかけてきた。
「ねえ、陽子ちゃん。聞いて! ストーン・ローゼスってバンドが昨日うちに来たの」
「え? 何? 石でできたバンド?」
「もうー。ストーン・ローゼス! 日本語で石狩鍋って意味よ」
「へえー、しゃれた名前のバンドだね。興味あるかもー。今度、聴いてみようかな」
「CDと一緒に鍋の具も一緒に貸し出すからさ。聴いてみてよ」
「うん。ありがとう! なんだか身体があったまってきたぞー」