ヘーゼルナッツの水曜日

オシャレ系ミュージシャンとして16年前に一世を風靡した矢口カンタロウのことを覚えているだろうか。矢口は当時、チョコレートのCMソング『ヤンヤヤンヤ!道玄坂』が大ヒット。中世的なルックスが時代のニーズにマッチして、オシャレ系ポップスのブームを牽…

ゴールデンウィークはバッタと

うちのクラスには究極のひねくれ者がいる。名前は進藤和樹。進藤の何が変わってるかって、普段は全く学校に来ないくせに、祝祭日は学校に登校するのだ。 進藤が不登校になった原因はよくわからない。コミュニケーション能力もあるし、友達も多いし、何よりも…

いま、会えるビンドル(=貧乏ゆすりアイドル)

魚ドル、歴ドル、オタドルなど、アイドルの多様化と叫ばれて久しいこの時代に、新たなるNEWフェイスが出てきて話題を呼んでいる。彼女の名前は、柳瀬ゆれ子。アイドルとしてのデビューは2008年で、当時は全く無名のグラビアアイドルだった。イメージDVDを3本…

恋愛けちょんけちょん隊(RKT)

関東近郊を訪れたことがある人なら、必ず目にしたことがあるだろう。「け」と一文字だけ書かれた帽子をかぶった奇妙な集団を。彼らの名前は「恋愛けちょんけちょん隊(RKT)」。文字通り、恋愛をけちょんけちょんにこき下ろすことを生き甲斐にしている集団だ…

イイジママサコのニッポン万歳!

もー、ニッポン! ニッポンどうなっちゃうのさ。我が国を愛することだったら誰にも負けない私、イイジママサコちゃんは今日も元気にヤケ酒してるよ♪ 酒の肴はもちろん、ニッポンの未来を嘆くこと。こんな国で生きていくのはもうごめんさ……なーんて、ネガティ…

事務のおばさん

敏腕マーケティングコンサルタントの勝浦丈太郎が、今年ほどマーケティングというものがいかにあてにならないかを痛感した年はなかった。勝浦は、2012年の日本はトゥーマッチで異質であるものがウケるだろうと予言した。その兆候は確かにあった。“ももクロ”…

このブログを見ている人はいません

僕はいつもネタ帳を持ち歩き、仕事中でも、友達と酒を飲んでいる最中でも、思いついたネタがあったらメモをしてきた。その日のブログに書くためだ。「おまえ、またブログのネタかよ」と言われ、「すごいの思いついちゃったんだよ」と答える。そんな会話は何…

日本を変えた小さなツボ

そのツボが発見されたのは一説によると、2012年の3月頃であると言われている。発見された場所は定かではない。ほぼ時期を同じくして、日本の至るところで小学生たちの間で同時発生的に大流行した遊びがあったのだ。 小学生たちは、後頭部にある髪の生え際に…

ザ・斜面 胸についているその山は何だ

2012年と2013年を境に世界は変わってしまった。2013年になると、見たこともない格好をした生き物が町中にあふれ出した。彼らの名前は33世紀警察。人類はようやく33世紀にタイムマシンを発明し、警察に人間たちが21世紀の暮らしぶりをチェックしに来たわけだ…

サビから始まるスローライフ

ミュージシャンから文科省の官僚になったという異色の経歴の持ち主・湯月信吾がまたおかしなことを言い出した。湯月は現在の日本は急ぎすぎていると言い、そのためにはスローライフの導入が不可欠だと言った。国民からは、ゆとり教育が失敗しているじゃない…

ビートルズ宇宙人説(再録)

タカシが会社から帰ると、3歳の息子のソラが今日もビートルズの『Across The Universe』を一心不乱に聴いていた。 タカシは心配になり、妻のサヨコに聞く。「また聴いてるの?」 「朝から晩まで、ずーっとね。もう何百回、何千回と聴いてるわ。こっちが話し…

ドラえもん のび太とレンタルインド人(再録)

今日、俺の家にレンタルインド人なるものがやってきた。俺が住む板橋区では、他の区よりも区民の国際化をはかるために今年度からレンタル外国人を各家庭に派遣するシステムが採用された。 板橋区役所が考えるところによると、日本人は外国人と触れ合う機会が…

ロック少年がEXILE好きな女子の気を惹くための23の方法

ロック少年をターゲットに絞った恋愛ハウツー本『ロック少年がEXILE好きな女子の気を惹くための23の方法』が20万部を超えるベストセラーとなっている。高円寺に住む猿橋修平はこの本を南口のヴィレッジヴァンガードで見つけ、寝る間も惜しんで1日で読み終わ…

奥田民生になりたい子供たち(再録)

これはどうしたことだろうか。 栗原は集められたアンケート用紙を読みながら、頭を悩ませていた。放課後の職員室には、もう誰もいない。他の先生方が帰った後にアンケートをゆっくり読もうと思っていた。 教師という職業に、栗原は飽き飽きしていた。毎年毎…

ももクロ小説『ももいろクローバーZ 奇跡の軌跡』

その昔、ももいろクローバーZの面々が「将来はSMAPさんや嵐さんのようになりたい」と言っていたことが嘘のようだ。今ではその2つのグループが足元にも及ばないような存在になってしまったのだから。 時計の針をまずは2012年に戻そう。ももクロがその年にリ…

ソシローはメジャーで通用するのか?

「ほら、ソシローさんよ」 「本当だ! いやだ! かっこいい!」 社内のOLたちからの黄色い歓声を背中に浴びながら、八橋一朗は会議室へと向かった。今日も若造が立ち上げようと画策している新規プロジェクトを“阻止”するためだ。 八橋がなぜ“ソシロー”と呼ば…

リッスン味のキャンディ

専門家たちが誰もが首をかしげた2012年の大ヒット商品。それが、「リッスン味のキャンディ」だ。このキャンディは「Listen」、つまり耳で味を聴くことができるというコピーのもと、2012年2月から売り出された。CMのキャラクターをつとめたのは、絶対音感を持…

驚異の新技術「検索サイト」

この講義を聴いているキミたちだけに、とっておきの新技術を教えよう。キミはこのカオスな時代の中でどう生きようか迷っているに違いない。カオスな時代において、もっとも重要な武器は何か。それは疑うこともなく、情報である。 これからの時代は情報のスピ…

雑菌だらけのアイラブユー

中学の頃から8年間想い続けてきたタカダ君から愛を告白された。私は正直、面食らった。タカダ君との間柄は、もうこのまま、一生片想いで落ち着いていくものだとばかり思っていたからだ。 それと、私には決定的に人間として欠けているものがあった。病的なま…

おもしろい人狩り

私が憎くて憎くてたまらないものの話をします。それは、おもしろい人です。 おもしろい人。あなたたちの周りにもいますでしょう。「あの人、おもしろい人だよね」と言われている人。私はああいう人たちが憎い。本当に憎い。腐ったオクラで作ったスープで原型…

味オンチ、顔オンチ(目たまご症候群についての症例)

まずは自己紹介させていただきます。松木麻奈美、27歳。仕事は建築デザイナーをやっております。私は生まれつき、人間の顔を上手に認識することができません。普通の人は髪の毛があって、目があって、鼻があって、口があって、アゴがあるというふうに顔を見…

とんかつバット

今、バッティングセンターで妙な遊びが流行っているのをご存知だろうか。とんかつバットという名づけられたその遊びは、ヒポポタマゴという三流芸人があるお笑い番組の中でやった芸のことである。ヒポポタマゴはスーパーのお惣菜売り場で買ったとんかつを持…

会話するコンビニ店員

職場の近くのコンビニに、ひとりおかしな店員がいる。この店員はレジ打ちの時に客と必ずと言っていいほど会話をするのだ。こないだなんか、俺がパンを買ったのを見て「今日はお弁当じゃないんですね。そのパンおいしいですよ」と言ってきやがった。俺はコン…

フレキシブル森崎のフレキシブルぶりがすごい

フレキシブル森崎は子供の頃は今のようにフレキシブルではなかったと言われている。それが25歳のときに天啓に導かれるかのようにフレキシブルに生きなければならないと思った。そして自分にプレッシャーをかけるかのようにフレキシブル森崎と名乗ったという…

ビジネスのふり

海外旅行が趣味の勝彦は大学を卒業して以来、日雇いアルバイトをして金を貯めては海外に長期旅行へ出るという生活を続けてきた。しかし、20代の頃だったらちょっと元気な冒険野郎として周りからもチヤホヤされたが、35歳も過ぎると親や友達から心配されるよ…

僕はテクノを知らない

1日限定で当日払いの倉庫整理のアルバイトで知り合った女の子の名前はミチルと言った。漢字でどう書くのかは知らない。ただミチルは自分のことをミチルと呼ぶ子で、初めてペアを組まされたときは自己主張が強そうでなんとなく面倒くさそうだなあと思ったの…

ドルとか円とか

1000円を拾って正直に警察に届けに行った。警察官は「えらい。優秀だ」と言って褒めてくれた。私はあまり褒められ慣れてないので舞い上がってしまい、「この1000円、ドルにしたらいくらなんでしょう」などと脈絡のないことを口走ってしまった。すると、警察…

愛がつぶれた日

にょぐもしゅー! それが三平の聞いた、愛のつぶれた音だった。それまで三平くん大好き大好きと言っていた美恵は途端に三平に興味をなくしたような顔になり、「今日は帰るね。もしかしたらもう二度と来ないかも」と言って荷物をまとめて部屋から出ていった。…

跳ねたらそれがウサギでしょう

あれは3年前、止めるあの人を駅に残し、動き始めた汽車にひとり飛び乗ったときのことでした。私は目の前にある世界が何であるか全くわからなくなりました。目の前に座っている人が男なのか、女なのか。今が7月なのか、12月なのか。この世界が平和なのか、…

がっつく時間

「おい澤田! おまえ今、自分はいいやって表情してただろ。先生はちゃんとそういう細かいところもちゃんと見てるぞ。次やったらおまえ、単位落とすからな」 また怒られた。僕はこの時間が心底苦手である。「がっつく時間」。誰がネーミングしたのかしらない…