2011-04-01から1ヶ月間の記事一覧

1回しか言わないよ

小さい頃にチョコレートのCMか何かで使われていた言葉をなぜかカッコイイ!と思ってしまった僕は、それ以来何か一言発するたびにその言葉を言わないと何も言えないようになってしまった。 僕にとってその言葉は魔法の呪文であり、天使のさえずりであり、賢者…

お菓子と毛布

『お菓子と毛布』の第7号を買ってきた。 『お菓子と毛布』はおそらく『音楽と人』からインスパイアされたと思われる雑誌で、人間が苦悩する時期にすがりつくのが、お菓子と毛布であるということから創刊された雑誌のようだ。クラスの女子たちがやたらとこの…

週刊誌を拾う

私が週刊誌を拾うようになったのは、1995年の2月からだ。あの年の冬は個人的に混乱した状況で、仕事にも恋愛にも身が入らなかった。そんなときに私の家の隣に引っ越してきたのが、カズオさんだった。カズオさんは100人に聞いたら100人が知っていると答えるよ…

キャーまだ

中学生の頃に同じクラスに生息していた保田雅恵は、中学生らしからぬビッグマウスを叩くことで有名だった。保田は中学1年生のときに、インドを一人旅すると言い出し、全校生徒からの羨望の眼差しを受けるようになった。保田は給食の時間に各クラスを回り、「…

わたくしのささやかな栄光(やや自慢)

本日はこのような講演会の機会を設けていただき誠にありがとうございます。あ、拍手もいただきありがとうございます。小西です。わたくしはしがない一市民ではありますが、わたくしのやったことは決して小さくなかったのではないかと今では自負しております。…

犬は肩を撃ったろう?

時計の針が夜をさして、私はこの町でもっとも力があると言われている政治家のSさん宅を訪ねる。Sさんは私の顔を見るやいなや、「遅いぞ」と一言だけつぶやき、奥へと消えていった。私はその後を追い、ひんやりとした空気の部屋の真ん中にあるテーブルに座る…

敬語を徹底しよう

こんなときだからこそ、こんなときだからこそ。呪文のように校長先生が繰り返す。敬語で喋ることを徹底しましょう。生徒たちはそれを聞いて、またかよ、と言ったようにうんざりとした表情を浮かべる。俺たちが暮らすこの地域は、敬語を使うという感覚が全く…

ムサボリン警戒

私は、皆に、警告する。今すぐムサボリン警戒をやめなさい。ムサボリン警戒は自分の人生を滅ぼすだけであるからして、つまりそれは有害なのである。 ムサボリン警戒は5年前くらいから流行った思想形態であり、今はその名前を知る人はいない。ジャーナリスト…