エクボの闘争

「『エクボの闘争』? どんな映画なの」
「見ての通りだよ。母さん。エクボとエクボが闘うんだ。それだけの映画さ」
「母さん、昭和生まれだから、そういう新しいのよくわからないんだけど、あなたたちの世代ではこういうのが流行ってるのね。そうなのね」
「そうだね。今、僕の周りでは、話題は毎日エクボのことばかりだからね」
「わかったわ。じゃあ。母さん、その映画見るわ」
「よっし、そう来なくっちゃあ! 母さん、大好き! チケット大人2枚ください!」
「『エクボの闘争』ですね。かしこまりました」



「母さん、どうだった?」
「いいエクボと悪いエクボの違いがよくわからかなったわ。母さん、ちょっと疲れたから、お茶しない?」
「ふーん。いいよ」
「あら。母さんが面白くなさそうだったから、すねてるのかしら?」
「そんなことないけどさ。母さんは僕がすすめる映画はいつも気に入ってくれないじゃない」
「義彦だって、そうでしょ。こないだ私がすすめた『スターウォーズ』気に入ってくれなかったじゃない」
「あれは、ちょっと現実離れしすぎてるからさ」
「それもそうね。あ、あのスタバにしましょ」