眠い人間

 ミクが起きると、カナは台所で紅茶を飲んでいた。
「あ、起きてたんだ」
「うん。おはよう。ミク、何時間寝てたの?」
「うーんと、22時間くらいかな? カナは?」
「私もそれくらい。21時間くらいかな」
「寝る前は何してた?」
「紅茶飲んだ」
「それだけ?」
「そうだよ。ミクは?」
「私は…ビーフジャーキーをかじった。それだけ」
「そうだよね。起きてるの1時間くらいじゃ、できることも限られてるもんね」
「ねえ」
「何?」
「私たち、寝てばっかりだけど、病気なのかな。病院行ったほうがいいかな」
「別にいいんじゃない? 睡眠は体にいいっていうし。そんなことよりね、ミク」
「ん?」
「私こないだね、久しぶりにテレビつけたら、ジャニーズの新しいグループが出てたよ」
「新しいグループ? 誰? 少年隊よりも新しいの?」
「うーん、少年隊からどれくらい新しいかわからないけど、嵐って言うの」
「嵐? それ、名前? なんか変だなあ。アイドルっぽくなくない?」
「ううん、私も変な名前だなあって思ったけど、みんなすっごくカッコいいの。山下くんとか櫻井くんとか」
「嘘? 見たい! 今度テレビつけたら出てるかな」
「出てるんじゃない? いつかまた、気が向いたらつけてみなよ」
「そうだね。このままずっとテレビの前で起きててみようかな…。ふわあ。私、もう眠くなっちゃった。寝るね」
「もうー、今起きたばっかじゃないの。あ、私も眠いや。おやすみ」