マーマレード桂の気まぐれ書評

 コーヒーでも飲みながら書評なんかを書いてみることにしてみた。昨年までは本なんて宗田理ぼくらシリーズくらいしか読んだことなかったんだが、こないだ別れた彼女がやたら読書家だったこともあって、ずいぶん影響されてしまった。自分はズボラで忘れっぽい性格なので、備忘録的な意味合いで、何を読んでどんなことを感じたのかを記録しておきたいと思う。(マーマレード桂)

■溝口タケル『カラオケパパ』
 世間では人気らしい溝口タケルの最新作。タイトルがヤバすぎるだろ。カラオケパパって…。じゃあなんで読んだのかと言うと、俺の好きな美園樹里主演で映画化することが決定しているから。
 ストーリーはパパがカラオケにハマってしまい、家庭が崩壊していく話。一見悲惨な印象を与えるが、このパパのキャラクターがとぼけていて、ところどころ笑わせてくれるがいい。パパはシリアス俳優の権田元気が演じるらしいのだが、大丈夫なのか? ラストでは思わず涙してしまった。さすがは溝口タケル。悔しいが上手い。

■バンドやったるぜ編『キラキラックスの真実』
 キラキラックスは高校生の頃ずいぶん聴いたなーと思い、古本屋で購入。バンドの苦労物語かと思いきや、これが相当な暴露本。ヴォーカルのコシバンが実は超有名政治家の息子で、バンドを早く辞めて政治の世界に来るように説得されていたことにビックリ。現在コシバンは表舞台には出てこないもの、政治を裏から操っているらしい。なーんか、ショックだなー。コシバンの作るパンクっぽい歌詞にずいぶん昔は熱くなったのに。

■ジャンセン・クリスピア『動物に見える雲の写真集』
 仕事に疲れたオッサンが読んだら癒されるかもしれないけど、俺にはまだ必要ないと思う。ずいぶんヒットしたと聞いていたが、こういう本がヒットするってことは日本はかなり病んでいるんじゃないかと思う。牛とかキリンとか、動物そっくりの形をした雲をよくもこんなにたくさん見つけてきたなーとは思った。カメラマンえらい。

■如月真琴『社畜の逆転サヨナラ満塁ホームラン』
 小説。自分が今、会社の奴隷と化しているのもあって、タイトルに惹かれて思わず購入。会社のために忠誠を誓ってきた主人公が、58歳の定年間近に逆転ホームランをかっ飛ばす話。学生時代の友達が夢を追って若い頃にチヤホヤされるんだけど、ことごとく失敗して晩年は路頭に迷っていく描写が秀逸で心地いい。こういうの読んでると、やっぱり会社にしがみついている生き方が一番正解なのかなーと思う。俺みたいな、中途半端な会社人間が読むといいのでは。それにしても、何度も言うけど、こういう本が流行る日本はヤバいよ。

■タダシ『路上奇声研究家・タダシのレポート』
 タダシとか言う名前の路上奇声研究家の本。俺自身がよく路上で奇声を発するので、自分のことを書いているのかと思って読んでみた。路上で奇声をあげる人って、なんらかの憂鬱を抱えている人が多いのかと思ったけど、これを読むと、野生の本能が強いDNAの人は奇声を発する傾向にあるという。そうかー、俺は野生の本能が強いのか。明日も遠慮なく奇声を発させてもらいます(笑)。

ユングラッド・ココル『原子のかけら』
 アトモリャーシカ賞とガルホンメス賞のW受賞作。双子のオンコとキンスの2人が同じ科学者に恋をする…。科学者はオンコを選び結婚するが、キンスはそれに納得ができずに科学者とオンコをストーカーし続ける。やがて発狂してしまった科学者はオンコとキンスの見分けがつかなくなり、キンスと暮らし始める。科学者はすでに頭がおかしくなっているのだが、キンスはやっと自分が科学者を手に入れることができて満足。オンコは科学者に自分が本当の妻であることを思い出させるために、ある衝撃の計画を立てる。
 SFとかサスペンスって苦手なんだけど、これは一気に読んだ。最後は驚いたなあ。それでこういうタイトルなのねって感じ。ヨハネス・ジャグ監督が2015年に映画化するらしい。

 こうして書いてみると、いろんなジャンルの本読んでるなー、俺。今は机の上にミステリー哲学小説家の久保田吉郎と、SF料理研究家の設楽正志の新刊が積読してあるので、この辺の感想はあとで書きます。って、誰もこんな書評読んでないか…。(マーマレード桂)