パン区

 東京都は22日(土)、新居住区「もん区」が好評だったことを受けて、もう1区加えて25区に増やすことを発表した。その名は「パン区」という。これは元パンクロッカーで現在は政治家を務めている山森ジョニーが提案したもので、彼曰く「文句を言いたい人間がそんなにたくさんいるなら、社会に対して反抗したいパンクな人間もたくさんいるはずだ」という理由によるものだった。この「パン区」では、国家や体制への反抗なら、どんな過激な手段であっても全てが合法とされている。有事に備えて機動隊が常に配備される予定だ。住民が聴く音楽はパンクロックが推奨されてはいるが、強制ではないとのこと。
 しかしながら、「もん区」の人気ぶりに反して、「パン区」の応募人数は規定の300人に達しておらず、現時点でまだ6人の応募しか集まっていないという。もしもこのまま応募人数が予定人数に達しない場合は、この政策自体が暗礁に乗り上げる可能性もあると見られている。
 社会学者の島貫真琴はこの現象についてこう分析している。「パンクロックが流行ったのは70年代の頃で、当時の社会はエネルギーに満ちていた。しかし現代に生きる人々は、ひとりひとりにそこまでのパワーはなく、誰も社会を変革できるなんて野望を抱いてはいない。過激な手段に訴える気もさらさらない。それよりも、先生とか企業とか役所だとか、身近にいる人たちに対して文句を言えればそれだけで満足なのではないだろうか」
「もん区」と「パン区」。対照的な盛り上がりを見せる両区の今後に注目が集まっている。